≪沢登り≫ 

    【黒部・上の廊下】・・・・VOL-3

 
9月22日(金)、曇り。
  
九州でしか、沢登りをしたことがない私は
9月の黒部で、タープだけで寝るというので
寒さが一番不安だったが、
着込めるだけ着込んで、夏用のシュラフに
潜り込んで寝た。

それほど寒くもなく眠る事ができた。

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今日は、薬師沢小屋まで一気に抜ける。

金作谷が右から出会う。
朝から、胸まで浸かる徒渉はつらい。

足場を決めそこなうと、すぐに流されてしまう。
それに、水圧が強いので、すり足なんかでは
進めたものではない。
水の中に、自分の足を打ち込むつもりでやらなければ
足は決まらない。

九州の沢で、私はまだロープを使うような徒渉は
経験がないので、わからないことばかりだ。

大きなゆるい流れの淵に出た。
志水さんは、左岸を高巻き気味にへつることにしたようだ。

一旦、5m程直上する。
細いブッシュにランニングビレイを取る。
そこから左に移り、クライムダウンするのだが厳しそうだ。

ハーケンを一枚打つことになる。
「山本さん、ハーケン回収してきてね」

「エッ、マジ?・・・・」
「ロープを固定しといて!」と志水さん。
私は、ビレイしていたATCのロープをロックする。
   
志水さんはロープを持ってダウンする。 
3〜4m程降りて、さらにへつる。
落ち口近くまで行き、ロープを固定する。

後続は、カラビナでビレイを取り、ロープにすがって
トラバースする。

ラスト・私。
  
「ハーケン抜くんですか〜?」
   
「うん、抜いて〜」

「エ〜ッ!」

「やっぱり、残置しとこ〜」

「ホッ!」・・・・「死ぬかと思った・・・」(-_-;)

この先も、右に左にと徒渉を繰り返す。
   
両岸からは、次々に支流が出合う。
山崩れをおこした所も多い。

以前は湖と呼べるほどの大きな釜があったそうだが
跡形もなくなっていた。

「上の廊下は来る度に変わっている」と志水さん。

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前方に美しい景観が見えてくる。
「立石」だ。

深い釜、青い水、岩と緑、・・・・・・・・

さらに進むと、左手に「立石奇岩」。
  
今にも崩れそうな岩の積み重なりに見える。
  
この「立石奇岩」が「上の廊下」の核心部の
終わりの印との事。

だが、ここからも気が抜けない徒渉が続く。
   
少しずつ歩きやすい河原になってきた。
もう、志水さんはロープをザックにしまっている。
   
「E沢」、「D沢」と出合い、えんえんと
河原を歩く。

薬師沢小屋は遠い。

やっと登山道に出た。

先の方に、吊橋が見えた。
そして「薬師沢小屋」だ。

もう足が動きたくないと言い出していた・・・・・

やっと、小屋に全員到着する。
  
志水さんを囲んで握手を交わす。
 「ヤッター!」・・・\(^o^)/

さっそくビールで乾杯する。

薬師沢小屋はいい小屋だった。
「イワナの会」のメンバーが入っていた。
   
夕食後、小屋の人たちや、イワナの会の人たちと
話がはずんだ。

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9月23日(土)、雨。
   
予定を切り上げ、下山する事に決まった。
雨の中を、「太郎平小屋」に向かう。
 
歩きやすい木道だ。
  
「太郎平小屋」で一休みして、「折立」に向かう。
 
折立からは、小屋のご主人の車に乗せていただき
経営するロッジのお風呂にも入る事ができた。
        
そして、タクシーで富山へ・・・・・・・
「富山で寿司でも一緒に食べよう」という話だったのだが
長崎方面への列車の出発は、10分後。
     
ろくに挨拶も出来ないまま、列車に乗ってしまい心残り・・・・・・
15:35に富山を出て、その日の23:50には長崎に着いた。

  
   * 3年振りの夏山が、憧れだった「黒部・上の廊下」となり、今年の夏のいい締めくくりとなった。
     九州外での初めての沢登りが「上の廊下」、初めてのガイド山行が「志水哲也さん」、と
     初めてづくしは、私の憧れづくしでもありました。
     
     自分の力だけでは自信がないコースなどは、積極的にガイドさんの力を借りるのがいいと思います。
     それに、一流の人と一緒に登れば、かけがえのないものを得ることができると思います。
     なにか最近山登りがマンネリ気味だな〜とか思ってるあなた、新しい山の世界が広がりますヨ。
     
     これからも、いろんな山登りを楽しめたらいいな〜と思う今日この頃です。

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     又いつか同じメンバーで山に行きたいなあ〜