≪沢登り≫ 

        【黒部・北又谷】・・・・VOL-II 

「長尾谷」との出合を過ぎると、
左から「ニワ谷」、更には右から
「カキオリ谷」が出合う。

この辺りは廊下が続き、
淵のへつりや渡渉が多くなる。
渓相も黒部らしく素敵な風景が続く。

中瀞と呼ばれる20mほどの瀞などがあり
「黒部にいるんだなあ〜」と
実感させられてしまう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「白金の滝」に出る。
一段岩に登り、
「白金の滝」がよく見える所から
その豪快かつ優雅な姿をじっくりと見る。

この滝は右手の小尾根から巻いてしまうので
見れなくなるので、見ておいた方がいいよ・・・
との事だった。

この滝の釜を眺めていたら
20〜30cmクラスの岩魚が5,6匹
目の前を悠然と泳いでいる。
「志水さん、岩魚だよ!」と言うと、
「ミミズを忘れちゃったもんなあ〜」と言いながら
実際に岩魚を目にすると、
目が釣師になっていた・・・・・
哀れ、岩魚はハエとアブを餌に
釣られてしまうのでありました。

どうせなら、もう少しおいしい餌で
釣ってあげたかったなあ〜〜

とりあえず、2匹をゲットし、
「白金の滝」の高巻きにかかる。

小さく巻いて、「漏斗谷」出合に降りる。

この「漏斗谷」も上級者の世界との事。
我々は、「北又谷本谷」に向かう。
きれいな廊下を進んで行く。
と、前方にスノーブリッジが現れた。

私は、スノーブリッジなるものは初対面である。

この後、スノーブリッジは都合三個現れ
その突破に時間と労力を費やすこととなった。

今年は豪雪だったせいで
いつもの年よりも、
スノーブリッジが多いとの事だ。
スノーブリッジをなんとかやり過ごすと
明るく美しい滝に出る。

ここは左岸のルンゼを登り、
草付きのちょっといやらしいトラバースの後
懸垂下降で谷に下りる。

この先には、チョックストーン滝があり
残置ハーケンを利用して
A0で登る。
そして、今回岩登りとしては
一番難しかったような気がした
7m滝の左壁の登り。

取り付きから、一段上がり
左にトラバースするのだが
スタンスがなく、私は足の踏み変えで
なんとかクリアーできた。

トラバースができれば
残りの直登は困難ではない。

ここを登れば、今日のキャンプ地の
「黒岩谷」出合は近い。

今夜は、岩魚があるんだぞお〜〜〜!

岩魚も酒もおいしかったが、
ヌカカに悩まされる一夜となった。
翌朝の誰かさんの顔は、
このHPに載せてしまえば
二度とお嫁にはいけない代物でした・・・・・・
(-_-;)コワ〜イヨオ〜
    
三日目

今日は「黒岩谷」を詰めて、朝日岳まで歩き
朝日小屋に泊まる・・・・
という緊張するような事は何もないコース。

のはずだったが、稜線の直下でいきなりの大雨。
そして、ゴロゴロ〜〜。

そうです。雷です。
稜線に出ればヤバイので、少し下ったところで
1時間の避難を余儀なくされてしまった。

雷が一段落した頃、意を決して歩き出す。
しかしここから朝日岳までの
遠いこと、きついこと。
でも、途中のお花畑は感動ものでした。
晴れた日にもう一度歩いてみたい気に 
させられた。

辿り着いた「朝日小屋」は若いスタッフと
ハツラツとした素敵な女性小屋番さんの 
応対が好感が持てるいい山小屋だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

四日目、 快晴。 

前夜いっぱいだった登山者たちが出発した後
小屋のスタッフの人たちがラジオ体操を始めた。

後ろには、「白馬岳」がきれいだ。
     

     お世話になった小屋に別れを告げ、北又小屋へと下山する。
     右前方には日本海、左前方には剣から毛勝三山、立山三山、と展望が広がる。
     下山日が快晴というのは、もったいない気もするが、
     山行の締めくくりとしては最高の気分だ。

     「やっぱり、今年も黒部にしてよかったなあ〜〜」
     そんなことを考えながら、北又小屋へと下山し、私の今年の夏山が終わった・・・・・・

     志水さん、Oさん、Kさん、ありがとうございました。
      
   
      *「日本登山大系」によれば、

          「北又谷本谷」・・・・本邦屈指の美渓である。(略)
                      瀞、滝、廊下と変化に富んだ渓相は正に秘境の名にふさわしい。
                   
                               と書かれている。


                                ・・・・終わり