≪Jimnyの山登りレポート≫

祖母山・川上本谷


祖母山九合目小屋の管理人さんと、川上本谷を遡行してきました。
詰めは、小屋番さんが今回行きたかったピナクル状のナイフリッジを目指したのですが
残念ながら、コースミスをしてしまい、次回の課題となりました。
                                                                
*今回の遡行図はこちら

  【山域】・・・・・・・・・・祖母山系
  【山行形態】・・・・・・沢登り
  【遡行谷】・・・・・・・・川上本谷
  【山行日】・・・・・・・・2001年7月21日(日)
  【天候】・・・・・・・・・・晴れのちにわか雨
  【メンバー】・・・・・・・祖母山の小屋番さん&Jimny
  【コース】・・・・・・・・尾平〜川上本谷〜ラクダ岩〜縦走路〜祖母山〜九合目小屋(泊)



今回は、小屋番さんと二人での山登りだ。
同行予定だった「若造君」は、夏風邪とやらで不参加となった。

小屋番さんとは、去年の「ラクダ岩」の調査を兼ねた試登を二人でやって以来だ。
沢の同行は三年前の「秋霧谷」以来となる。
今回の「川上本谷」は、7年前に、私の昔からの山の友人である
「ボッカ馬場」、「ハンマー落とし野口」との三人で入った谷である。
  
その時は、詰めのコースを誤り、ボロボロのナイフリッジなどに
苦労させられ遡行と詰めで10時間を要してしまい、
黒金尾根をヘッドランプで下った思い出の谷でもある。

今日は、地元の小屋番さんと一緒なので、その時のミスをしっかり
確認してみたいと思い、楽しみにしてきた。

   

  前夜、原尻の滝のそばで車中泊。
  朝から尾平に移動する。

  小屋番さんと合流し、さっそく出発する。

  登山道を歩き、
  黒金登山道が谷を渡る地点の木橋を
  小屋番さんと二人で架け替える。

  「そうか、この力仕事のために
  私は呼ばれたんだ〜〜」
  ウソヨ〜ン!

  ここで沢登りの装備に変えて、
  谷へと入る。
 明るいナメの上を
 清流が踊るように流れている。
 川上本谷の真骨頂は、
 入渓地点から続くこのナメの
 美しさだろう。

 女性的とも言える、
 美しい光景を楽しみながら
 遡行していく。

 小滝も適当に現れるが
 ロープを必用とするような滝はない。  
 2段8m滝、5m滝と登って行くと、
 7m滝がある。
 この滝の左手の岩に、
 黄色い花が咲いている。

 小屋番さんが、少し興奮気味に
 「キレンゲショウマが咲いとる!」
 と大きな声を出した。
 「まだ早いので咲いているとは
 思わんかったなあ〜」
 
   私は、個人的には
 はじめてこの花を見ました。

 この先は、ゴーロの谷が続く。

 大きな木がすくすくと伸びている。

 エボシ谷が右から出会う。
 水は少ないが、
 立派な滝を掛けている。

 この先で本谷はやや左に折れるが、
 行く手には、
 チョックストーン滝が待っている。
 登れそうにないので、
 右手の尾根から回り込み
 懸垂下降で谷に戻る。
 空中懸垂気味となる。
  やや微妙なバランスを必要とする
  大岩の間を越える。

  眼前に、川上大滝と呼ばれる
  14mの滝が見えてきた。
  ハーケンを5〜6枚も打ち込めば、
  直登出来ないことはなさそうだが
  危ないことは止めておこう。

  この滝は右手から巻けると
  本にはあるが、
  表土が落ちていて、
  つるつるの岩はちょっと怖い。

  今日は、左手の小尾根から巻くこととする。
  が・・・・・・・・・・・

  この尾根こそ7年前に
  我々がミスをした尾根だった。
  岩に突き当たる。
  左に進めば
  7年前に行った外傾バンドのトラバースだ。
  ここも怖い思いをすることがわかっていたので
  右のカンテ状の岩場を登ることにする。
 
 
  3m程の岩だが手がかりがない。
  上から横に伸びている木に、 
  投げ縄でロープを掛ける。
  ブルージック登攀を試みるが、
  最後の一手が登れない。

  今度は、岩のリスにハーケンを
  二枚打ち込み、
  シュリンゲをアブミ代りにして登る。

  なんとか、登れた。

  セカンドの小屋番さんが登るときに
  ハーケンが抜けヒヤッとする。
  この後も、
  投げ縄を必要とする難所があった。

  谷に戻ると、
  すぐ上には「10m滝」が待っていた。

  これも登れそうにない。
  左から巻く。
  そのまま、小尾根を詰めていくが、
  今日小屋番さんが行きたい
  「ラクダのリッジ・ピナクル」からは
  離れていきそうだ。

  ここから、懸垂2ピッチで谷に戻る。

  谷はぐんぐん傾斜を増し、
  両サイドは壁となってくる。
  足元は岩屑だらけとなり、
  慎重に足を運ぶ。

  空模様が怪しくなったかと思うと、
  いきなりの雷雨だ。
  幸い、横の岩がハング気味だったので
  雨に濡れることはなかった。
  小雨になるのを見計らい、谷を詰める。

  前方には、
  狭いルンゼにチョックストーンが挟まり、
  その下をすり抜けていく。
  そこから一息でラクダ岩の一角の
  稜線に出る。
  熊笹を少し分けると、縦走路だ。
 
途中、ラクダのリッジに向かい時間を食ったせいもあり、ここまで10時間少々を要していた。
仮に順調に行ったとしても、川上本谷の遡行には8時間程度は見ておいた方がよさそうだ。
詰めを誤ると、結構厳しいボロボロの岩稜に冷や汗をかくことになります。

縦走路に出てからは、九合目小屋まで一直線。

19時前に小屋に到着、遅い夕食を取った。
小屋には、先客が3パーティー4人。
京都からの人や、傾山までの縦走者もいた。

************************************************************
 翌朝、小屋番さんと天狗岩に向かう。
 天狗岩の突端にある
 「天狗のアゴ岩」といわれる所を
 試登してみたい・・・との
 小屋番さんの考えだ。

 縦走路から一旦下り、
 アゴ岩を巻くように右から登る。

 アゴ岩の上に立ってみると、スゴイ高度感だ。

 アゴ岩の基部までは、50m位だろうか。
 すでに小屋番さんが作っていた支点を使い、
 懸垂下降する。
 アゴ岩のテラスと呼ばれる所に一旦降りる。
 なかなか高度感のある懸垂下降だった。

  ここには、支点を取れるものが何もないので、この下までは降りることは出来ない。
  今日は、テラスの上段のみを登ってみることとする。
  どちらにしても、上段の方が登るには難しそうだ。

  懸垂のロープをそのままトップロープ状態にして、まず小屋番さんが登る。

  岩がもろいので慎重に登る。
  中間辺りは、結構岩は立っているのでなかなか厳しそうだ。

  私が次を登る。

  高度感もあるし、初心者にはちょうどいい感じだがいかんせんアプローチが・・・・・・・・・・・
  と私が小屋番さんに言うと、「ウ〜〜ン」と唸ってしまった。
  「マッ、自分たちが楽しむ分にはいいんじゃないの・・・」

  天狗岩に戻り、居合わせた登山者の人たちと一緒に昼食を取り、黒金尾根を下山した。

  タップリ山を遊んだ二日間だった。

  小屋番さん、ありがとうございました!