2003.11.28・・・・山行のリーダー、会のリーダー
昨日のニュ−スで、千葉の方で30人のツアー登山のパーティーが道迷いで一晩沢の中でビバークしたとのこと。
NHKのトップニュースで流れました。
そのリーダーさんがインタビューに答えていました。
「ビバークの判断は間違っていなかったと思っています。むやみに歩き回らない方がいいと思いました。」
日本山岳協会の方が、コメントを求められ、こんなことを言っておられました。
「ビバークの判断は間違っていなかったと思います。
ただ、ビバークするようになってしまった山行自体に問題はあったかも知れません。」
この山行も、本来はハイキングだったそうですが、ハイキングなどの山行のリーダーは、
何事もなければはっきり言ってなにもすることはありません。
参加者の服装や装備のチェック、ペース配分、危険な箇所での安全対策、休憩の指示、コースの確認、
メンバーの体調のチェック、くらいでしょうか。
不幸にも、何か予期せぬ事が起こった時、そのときこそリーダーの力が試されます。
道迷い、メンバーの怪我や体調不良、天候の急変、危険箇所への遭遇・・・・
そんな事態へ、的確に冷静に対応できるか。
それと同時に、リーダーに対してメンバーが絶対的に信頼を寄せているか・・・・・
日頃から信頼に足るリーダーとしての行動をきちんとしていれば、非常事態が起こった時にでも
メンバーはリーダーの指示にきちんと従い、冷静な行動ができると思います。
千葉の件のニュースを見ていると、メンバーの方が言っていました。
「ビバークの経験をするいいチャンスだと思いました。」
こんな言葉がメンバーから出るという事は、
「案外、リーダーの方はメンバーの方たちから信頼されていたかも知れないなあ〜」と、私は思いました。
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もうひとつ、最近私の身近で考えさせられたことがあります。
山行のリーダーではなく、会とかグループのリーダーのことです。
会やグループのリーダー的な立場にある人は、ある意味では、
機会があるごとに、メンバーを指導教育する場を設ける立場にあると思います。
一般的に大多数の人が休みが取れるお盆や正月などは、そのいいチャンスです。
通常、九州の社会人山岳会などでは7月の20日以降やお盆休みなどに、夏山合宿と称して、
日本アルプスなどへの遠征を行ない、メンバーに経験を積ませたりレベルアップを図ったりします。
正月には、冬山合宿として鳥取大山や八ヶ岳などを取り組んだりしました。(私の経験上では・・・)
それは決して本当にリーダーがやりたかった山行ではないのかも知れません。
もっと、レベルの高い山行をやりたかったのかも知れません。
しかし、会のメンバーに経験を積ませてあげたい、それがひいては会のレベルアップに繋がる・・・との思いで
夏や冬の合宿をしてくれていたのだろうと思います。
もしも、会のリーダー的な立場の人たちが、めいめい自分がやりたい山行ばかりしていたら
そのリーダーに付いて行こうと思って会に入ってきた人たちはどうすればいいのでしょうか?
せっかくの長期の休みも、リーダーたちは個人山行ばかりで、会の山行は近場のハイキング。
これでは何時まで経っても、メンバーは経験を積んだり、レベルを上げる事も出来ません。
個人としてすごいレベルの山行をこなせる人がいいリーダーたり得るとは限りません。
登山隊長と登攀隊長に求められるものは違うということからもそれは言えます。
マネージャースペシャリストとタレントスペシャリスト・・・・・・
*昔学んだビジネス用語ですが、山の世界でも同じだと思います。
話がそれましたが、会のリーダーは、いつも我がメンバーにどうしたらいい経験を積むチャンスを与えられるか・・・・
自分自身の楽しみもさることながら、その事を頭に置いておくべきだと思いますが、
このJimny的感覚は、リングボルトと同じように、前時代的なものなのでしょうか・・・・・?
2003.11.26・・・・う〜〜ん、バリエーション!
先日、11/23.24の連休を利用して、阿蘇界隈で遊んできました。
九州さんらく会のメンバーと、山登りを勉強した2日間でした。
23日は、阿蘇の外輪山である「高千穂野」の北面での地図コンパス登山をしたのですが、これが大変でした。
事前に、1/25000の地形図でコースを設定して、それを辿る実習山行だったのですが、
スズタケのヤブは濃いし、ぼろぼろの岩場は出てくるし、地図には載ってない岩壁に行く手を阻まれたり・・・・
この先、かなり危険な状況も予想されたので、結局、予定していたコースの1/5くらい辿った地点で、撤退しました。
下山後、本日のもうひとつのテーマであった搬出訓練をやりました。
今回は、シート担架の作り方とその搬出の仕方を勉強しました。
そして、実際に昨日の二日酔いで死に掛けていたmimimamaさんを搬出しました。
mimimamaさんはシートにくるまって気持ちよさそうに、「このまま寝たい・・・」と言っていました。
その後、前回3月に行なった時に勉強した「ザック担架」での搬出を復習しました。
そして、時間があったので、参加メンバーのザックの中身チェックを抜き打ちでやりましたが、
みなさん、装備は見習いたいくらい完璧でした。
その上、きちんと軽量コンパクトに納めていました。
翌24日は、さんらく会メンバーが楽しみにしていた「根子岳縦走」でしたが、
Jimny的には、この日の根子岳縦走よりも、昨日のヤブルートの方が、ずっと緊張感もあり、楽しかったです。
*ちなみに、九州さんらく会は現在新規会員を募集中だそうです。
ネットを活用した本格山の会としては、九州でも草分けと言える山の会だと思います。
もう少し、自分の山登りをステップアップしたいと思っているあなた!
若い仲間が待ってますよ。
私、Jimnyも九州さんらく会を応援しています。
でも、長崎の人ならJimny倶楽部も楽しいよ〜〜〜!
2003.11.16・・・・雲仙・牛首岩
今日は、久しぶりに雲仙牛首岩に岩登りに行きました。
メンバーは、みみずまる、もりもり、ヤンマー礼子さん、mimimama、Jimnyでした。
昨日の雨もすっかり乾いていて、いいクライミング日和でした。
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みみずまるは、リードクライミングの復習。もりもりは牛首デビューでした。
そして、ヤンマー礼子さんは岩から遠ざかっていたので感を取り戻すのに精一杯でした。
いつもの年なら、眼下の紅葉がきれいなのですが今年はさっぱりでした。 |
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午前中はマルチを1本登り、午後から右手のショートルートをじっくり登りました。
2003.11.13・・・・ヤブコギの季節で〜〜す!
私は、ヤブコギ登山が大好きです。
夏は沢登りが好きですが、沢登りとヤブコギとは相通じるものがあるように思います。
どちらも決められた登山道はなく、自分でルートを決めながら(判断しながら)進んでいく面白さが好きです。
それと、この先はどうなっているのかわからないというどきどきわくわく感もいいですね。
ですから、沢登りも毎年通いたくなる谷もありますが、
やはり初めての谷は計画段階から、なにか心躍るものがあります。
ヤブコギ登山は、地図上で面白そうな尾根や谷を当たりをつけて行ってみたり、
どこかの山に登った時、山頂から見える素敵な尾根や谷を発見し、別の機会に登ってみたりします。
ですから、ヤブコギ登山は「なあんだ〜〜」と、ガッカリするようなハズレ登山も多いですね。
やはり展望が良かったり、感じが良いところはとっくに登山道になっているわけです。
また、国立公園内はむやみに登山道を外れてはいけませんし、
里山は私有地の場合が多いので、立ち入ってはいけません。
ヤブコギ登山もいろいろと制約の中で楽しまなければならないことは言うまでもありません。
ヤブコギ登山も、登山道を外れるという意味で、バリエーション登山と言えると思います。
先が見えないところに踏み込むわけですから、
いろいろな場面に対応できる技術と装備と知識が必要になってきます。
地図とコンパスが使える事は大前提です。
岩場の通過の際の、クライミングの基本やロープワーク、撤退の場合の肩がらみ懸垂下降、
万一の場合のフォーストビバークの知識と装備、非常通信手段の確保、
さらには、メンバーが怪我をしたときの搬出の技術、、、、、
そんなたいそうなあ〜〜〜と言う人もいるかもしれませんが、
登山道を外れるという事は、そんなにたいそうなことなんです。
そんなにたいそうだからこそ、面白さもたいそうなことになるわけです。
2003.11.10・・・・大崩山、今昔
先日、宮崎の山、大崩山に行ってきました。
この山は、昔私が長崎の山岳会に在籍中には春山合宿の定番となっていたところです。
当時は、この山に入る人は、大学山岳部か社会人山岳会のパーティーがほとんどでした。
この大きな山には、一般(未組織)登山者はそれほど多くは入っていなかったように思います。
春や秋の連休であっても、車道からあふれ出るほどの車はありませんでした。
大崩山荘前のテン場も、ぱらぱらとテントがあるくらいでした。
先日の大崩山は、車道は車でいっぱいで、二枚ダキコースの林道の方まで駐車スペースを捜しに行ったほどです。
次から次へと登山口から山に入っていく登山者たち・・・・
半分くらいはデイバックのハイカー風。
大きなザックに幕営装備を詰めたと思えるパーティーは少数でした。
山岳会に所属しない未組織登山者が増えた昨今、昔と一概に較べる訳にはいかなくなりましたが、
今は完全に山岳会パーティーは、この山でも少数派になってしまったようです。
それでも、山荘前に幕営しているパーティーは、そのテントなどの様子から山岳会が多いようです。
この山の素晴らしさは、山中のテントに泊まってこそ味わえるものだと思います。
我々も今回はリンドウの丘にテントを張りました。
当初は権七小屋谷に泊まる予定だったのですが、途中で時間を喰ってしまい(私のミスです)予定を変更しました。
この日は、我々の他に、鹿児島労山のパーティーが別にテントを張っていました。
少し遅れて福岡労山の3人パーティーが、テントを設営しました。
その間、15時過ぎ頃に、年配のご夫婦がやってきました。
三里河原からモチダ谷を登って、大崩山の山頂に寄り、坊主コースで下山する予定だったのが
コースを間違えたらしく、三里河原方面に行きかけてしまい、
引き返して、このリンドウの丘の方へやってきたらしいのです。
「下山はこちらでいいのでしょうか?」と聞かれるので、
「坊主コースはこちらでいいですよ、でもここから3時間は見ておいた方がいいですよ」
と、背中の小さなデイバックを見て、雨具とかヘッドランプとかちゃんと入っているのかな・・・・?と、
私は少し心配になり、「気をつけて下山してくださいね・・・」と声を掛けました。
ご夫婦は下山して行かれましたが、鹿児島のパーティーと、「少し心配ですね・・・」と話したものです。
坊主コースの最後の渡渉は、暗くなればヘッドランプではまず無理だと思ったほうがいいので、
林道コースで行くようにもうひとこと言っておけば良かったかな・・・・と後で思いました。
そんなことがあった後、夜も更けて、他のパーティーと酒を飲みながらオシャベリをしていました。
すると、19時か20時頃だったと思います。
和久塚コースの方から、ヘッドランプの明かりが3つこちらに近づいてきます。
「なんだあ〜?こんな時間に〜〜」と、他のパーティーのメンバーとも話していると
屈強そうな若者が3人、大きな荷物を担いでやってきました。
「こんばんは、テントを張らして下さい。ちょっとルートミスして遅くなってしまいました。」
と、たいして疲れた様子もなく、彼らはテントを張りご馳走を作り始めました。
彼らは、○○大学山岳部とのことでした。
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今回の山行で、図らずも大崩山の今と昔を見たような気がしました。
ガイドブックやインターネットで、豊富な情報がここ大崩山についても溢れています。
未知のもの、わけわからんもの、については人は慎重になります。
でもいろんな情報を手に入れると、同じ山であっても人は慎重さや恐れを感じる心に欠けたりします。
大崩山そのものは、登山者が情報を持っていようがいまいが、山そのものに変わりはないのです。
情報さえあれば登れるわけではないのです。
その情報を正しく理解し、自分自身の力と謙虚に照らし合わせて判断することこそが大事なのだと思います。
そのためには、情報を正しく理解する力と、自分自身の力を謙虚に評価できることが前提です。
情報そのものさえも集めない登山者は、大崩山のような山に入る資格もないと言えるかも知れません。
その夜は、一時かなりの雨が降りました。
私はテントの中で目覚めてあの御夫婦の事を考えていました。
「万一途中で暗くなってしまい、ビバークとかいう事態になれば、あの装備でこの雨はヤバイなあ〜〜」
おせっかいと思われたくない気持ちから、言葉が足りなかった事をまた後悔しました。
まだ明るい15時頃に通って行った御夫婦と、真っ暗になってやってきたパーティー・・・・
ご夫婦は何事かあれば、危険な状況に陥る事は目に見えています。
でも、それよりもっと遅くやってきた若者達は、万一途中でビバークという状況になっても
平気で雨具でも着込んでそのあたりにでも座りこんで一晩を明かすのは何でもないことでしょう。
最近山の本によく書かれています。
何もない事を前提に山に入る登山者が多過ぎる。
暗くならないうちに下山できるハズだからヘッドランプなんていらん!
道はわかっているから地図コンパスなんていらん!
天気がいいから雨具は置いて行こう!
一緒に登った○○さんがきつそうにしとるけど、道もわかっているし大丈夫やろ・・・「先に行っとくよ〜〜」
etc,etc・・・・・
大崩山、今と昔。
私が山登りを始めて、山のことが少しわかってきた頃、憧れを持ったのは祖母傾縦走とこの大崩山でした。
山岳会に入って山登りのことを先輩方に教えていただいて、やっと登った大崩山でした。
この山は、きちんと山の事を勉強してから登ってこそ価値のある山だと思います。
山頂を踏んで、あわてて通り過ぎていく山ではないと思います。
もっと、山を楽しんであげましょうよ。
山の中でゆっくり時間を過ごして、
「ああ、いい山だなあ〜〜、いい時間だなあ〜〜」と、私達が感じていれば
山も、「よお〜来たのお〜〜、ゆっくりして行かんねえ〜〜」
そう応えてくれるような気がします。 |
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