富山県の黒部に、およそ10年ぶりに沢登りに行って来ました。
メンバーはガイドのS氏と、私を含めてゲストが4人。
新大阪に一泊して、始発で黒部へ。黒部駅でS氏、参加者3名と合流。
宇奈月へ車で移動する。宇奈月から欅平まではトロッコ電車で移動。身支度をして出発する。 |
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トロッコ電車の乗り場に急ぐ
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トロッコ電車の風景
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水の色がきれいだ
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いきなりの急登300mを登る。
第二欅平と言う地点に到着。ここで急登は終わる。
水平歩道を歩く。危険な道だ。
右側はくりぬいた壁、左側は300mの絶壁。道幅は狭いところは50cmほど。
落ちれば300mまっさかさまだ。
途中の谷には大きな雪渓が残っていた。
折尾の大滝を見てオリオ谷を渡る。 |
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水平歩道を行く
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標高は低いのに雪渓が・・・
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餓鬼谷目指して下降する
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さらに水平歩道を進み、餓鬼谷出合への下降地点をS氏が探す。
別に決まった地点があるわけでもなく、地図と実際の地形を見て判断している。
250mほどの高度を下らなければならないので、できるだけリスクが少なく効率よく下れる
ポイントを探さなければならない。
コンテで下りはじめる。
要所要所でランナーを取りながら、また、木々の間を縫うようにロープの流れを作りながら
S氏が下っていく。(万一落ちても止まるように)
そしてコンテでは下れないほど傾斜が急になってきたあたりで、懸垂下降に切り替える。
まだ河原までは結構ありそうだ。
大きな木に60mロープを廻してS氏が降りていく。
コールがあって二番手の私が下る。そして全員降りてきた。
時間がかかり過ぎるとの判断で、残りは60mシングルでロワーダウンすることになった。
ラストのS氏のみが懸垂下降2ピッチで下ることになる。
トップの私が、できるだけ安全なラインにロープを引かなくてはならない。
ロープが足りているかどうか少し心配だったが、大丈夫だった。
振り返ると「餓鬼谷出合の大滝」が圧倒的な水量で水煙を上げている。 |
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餓鬼谷出合いの大滝
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全員大滝の撮影に忙しい。
さあ、ここからが餓鬼谷沢登りの始まりだ。
この大滝をどう突破するのか。この水量だ。水の中はありえない。
S氏は左岸を小さく高巻くことにしたようだ。私をビレイに呼ぶ。
まず胸の下あたりまでの渡渉だ。水温は低いが水圧はそれほどでもない。
対岸に取り付き、スラブ状をハーケンを打って越え、ブッシュ伝いに登って行く。
リッジを乗り越え、平坦な草付を少し進んだ。
回収したギア類をラストの位置から渡していると、再びビレイの声がかかる。
行ってみると、滝の落ち口をジャンプすると言う。
岩と岩の間隔は相当ある。滝の落ち口はすぐそこだ。
万が一にも失敗したら、この水量だし私の足場も良くはないので止めることに失敗する可能性もある。
そして止め切れなかったときは奇跡でも起こらない限り彼は助からないだろう。
気合を入れて、足場を固めてロープを握りS氏に合図を送る。
何事もないかのように(私にはそう見えた)彼は飛んだ。
二番手の私は2,3度躊躇し、そして気合を入れ直して・・・飛んだ。届いた。ホッ。
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この後も小滝が連続する。小滝といってもこの水量だから簡単に越えることができるのはあまりない。
そしてかなりやばそうな箇所に出たので、ここは右岸を高巻きすることになった。
ライン取りを何度か修正しながらS氏が登って行く。我々もコンテで続く。
そして河原に戻り、遡行を続けていると「餓鬼の湯あったよ〜〜!」と声が上がった。
今回の一番の目的であった自然にできた温泉だ。
自然にできた湯船は、大人4人が入れるほどの広さがあり、深さはへその上辺りまである。
湯温もちょうど良い。このお湯の温度も人の手が入っているわけではない。
一番大きな泉源はこの湯船の数十メートル上にあるが、あちらこちらからお湯は出ているようだ。
自然にできた、と書いたが、もともとこの餓鬼の湯まで来ることが相当困難な道のりなので
誰も彼も来ることはできないだろう。だから、手を加えるほどの人間はこの地には来ていないはずだ。
我々はここでキャンプをし、お風呂を楽しんだ。
翌日、時間的に厳しいので今回はここから登山道目指してエスケープすることになった。
唐松岳から祖母谷温泉への登山道の途中に突き上げる。
途中、熊の唸り声(?)みたいな音にビビリながら、全員で声を出してキツイ登りをがんばった。
私はこのエスケープの登りの途中からバテバテで、下山地の祖母谷温泉小屋に一晩泊ることにした。
東京から参加の女性も泊ると言う。S氏と後の元気な2名とはここで別れた。
この祖母谷(ばばだに)温泉の山小屋はご夫婦と息子さんの3人で切り盛りしているとの事で、
家庭的でとてもいい宿でした。
おまけにこの日は日曜日の夜と言う事で宿泊客は私たちふたりだけ。
露天風呂も貸切だし、最高でした。
*今回はいろいろと反省することや、考えさせられることなどが多い山行でしたが、
祖母谷温泉の一夜で、良い思い出となる山行となりました。
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宿の窓から祖母谷を見る |
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