≪沢登り≫ 

    【黒部・北又谷本谷】・・・・VOL-1 


北又谷−概念図

      
       *去年に引き続き、 黒部のガイド「志水哲也さん」の案内で、「黒部北又谷」へ行って来ました。
        「黒部川・上の廊下」よりもワングレード上級とされるこの谷は、美しい渓相を見せながらも
        泳ぎ、へつり、渡渉、登攀、高巻き・・・・と、沢登りの厳しさと醍醐味を
        味あわせてくれました。


  【山域】・・・・・・・・・・黒部(富山県)
  【山行形態】・・・・・・沢登り(ガイド山行)
  【遡行谷】・・・・・・・・黒部川支流、黒薙川「北又谷」〜「黒岩谷」
  【山行日】・・・・・・・・2001年8月2日(木)〜8月5日(日)
  【天候】・・・・・・・・・・晴れ/晴れ/曇りのち雷雨のち曇り/晴れ
  【メンバー】・・・・・・・
        志水哲也さん(ガイド)=黒部宇奈月に本拠を置き、写真とガイド活動をされています。
                   厳しい事も言われますが、得がたい勉強をさせてもらえます。   
        Kさん(千葉県)=志水さんが籍を置くJECCの後輩にあたる方で、ヘッデン山行が
                   得意技の怪力クライマー。
        Oさん(長野県)=去年の上の廊下でも一緒だった、バリエーションウーマン。
                   山岳写真にはまっています。
        Jimny(長崎県)=海育ちの長崎代表として恥ずかしくない泳ぎを見せた(?)Jimnyです。
                   体力の限界でした。ヘロヘロ・・・・・・・           

私の周りは、今年も「やれ、屋久島だ〜、トムラウシだ〜、剣だ〜、南アルプスだ〜」と、賑やかだ。
「縦走もいいな〜、相棒がいればやさしいバリエーションもいいな〜」と、
限られた時間とお金の中で、今年も悩みました。

そんな事を悩んでいた時に頭に浮かんだのは、去年のあの「上の廊下」の青く澄んだ瀞の色。
初めて顔を合わせた人たちとの、新鮮な山登り。
そしてなにより、沢登りの厳しさと面白さを改めて認識させてくれた「志水哲也さん」との数日間。

「ヨシ、今年も黒部だ!」

志水さんのHPでガイドプランをチェツクしてみると、「黒部北又谷本谷」というのが
目に入った。
「日本登山大系」で調べてみると、結構厳しそうだ。
去年、別れるときに志水さんから、「今度は上の廊下よりワンランク上の沢に来てみてもいいですよ」と
言われたことを素直に受け取ることにして、申し込んでみた。

志水さんからもOKをもらい、仕事の段取りを付けて8月1日16時頃の、列車に飛び込む。

長崎から、白いカモメに乗り、福岡からは新幹線、新大阪から夜行寝台で集合場所の黒部駅に
着いたのは、翌朝の5時前だった。

志水さん、一年ぶりのOさんと合流し、もう一人の参加者Kさんとも合流し、
小川温泉へと向かう。
  ここでタクシーに乗り換えるのだが、温泉芸者さんならぬ
  オロロの大群のお出迎えだ。
  あわててタクシーに乗り込む我々をよそに、
  悠然としているKさん。
  「5箇所くらいやられたみたいだな〜」

  車内に飛び込んできたオロロをやっつけ終わった頃には、
  今回の取り付きの「越道峠」にタクシーは到着した。
  ここからは、わずかな踏み跡を辿って「北又谷」へと降りる。
  ルートファインディングが難しそうだ。
 
  最後はザイル二本でのダブルの懸垂下降で
  「北又谷」へと降り立つ。

  いきなり「魚止の滝」と呼ばれる大きな釜を持つ滝が待っている。
  以前は、7mの落差の滝だったそうだが、
  数年前の豪雨で埋まってしまい
  現在は1mもない高さか・・・・・・
 だが、釜の突破は身を切られる冷たさの
 泳ぎとなりさっそく防寒アンダーと合羽を
 着ることとなった。

 なんとか、右手の岩を登りあがっても
 対岸へはジャンプしなければならない。
 ロープで確保されてのジャンプだったが、
 「単独ならここはヤバイね」・・・・と志水さん。

 ジャンプした後も、
 水量豊富な二段の滝があり、右の岩を登る。
 廊下がしばらく続くと、
 すぐに左から「裏定倉谷」が連瀑となって
 出合う。

 「裏定倉谷」をやり過ごすと
 行く手に「大釜淵」が現れる。

 「北又谷」最大の見せ場であり、
 突破するとなると最大の難所でもある。

 「山本さん(Jimnyのことです)、泳げる?」
 と、志水さん。
 「馬鹿言っちゃあいけねよ〜」
 「こちとら長崎の島育ちよ〜」
 と、なぜか江戸っ子になるJimny。

 啖呵を切った手前、
 あんまり無様なところは見せられない。
 
 登れないにしても、ちょっとは粘らねば・・・・

 なにせ、この釜を突破するのは、
 並大抵ではないらしい・・・・

 が、泳ぎは合格だったものの、
 岩登り技術が・・・・あ〜あ〜
  空しく激流に押し戻されてしまうJimnyでした。
 
  押し戻されるときも、気を抜けば
  水に巻き込まれると上がって来れないので
  必死だ。

  結局、今日はこの「大釜淵」は突破できず、
  左から高巻くことになった。

  この高巻きも、スタカットで登り
  懸垂下降で下るという厳しい高巻きだった。

  「大釜淵」の上部も、廊下が続く。

  左岸から、「恵振谷」が出会う。

  この「恵振谷」は更に厳しい谷との事。

  80mの「ケルン滝」は見事な滝らしい。
 「恵振谷」出合のすぐ上には
 悠々たる「又右衛門滝」が落ちている。

 この滝も大きな釜を抱えている。
 この滝の高巻きは3時間を要する
 急登の大高巻きとなるので
 涼しい時間帯の明日の朝一番の
 仕事に回す事になり
 今日は、この滝の手前でキャンプとなった。

 タープを張り、流木を集めて
 夕食の準備にかかる。

 ここは虫もいなくて快適なテントサイトだった。 
    二日目、「又右衛門滝」の大高巻きから
    一日が始まる。

    「又右衛門滝」の右手の尾根に取り付き
    高度300mの急登を登る。

    途中、「ブナ平」、「熊平」と呼ばれる
    所を通過する。

    志水さんは、以前の遡行時の記録を基に
    下降地点を探している。
    
    ここのルートファインディングは、何度も来ている
    志水さんをしてみても難しいとのことだった。

    この高巻きは、ほとんどアンザイレンしての
    登り下りで、厳しいものだった。
 
    無事、「長尾谷」との出合付近に下りて来て
    懸垂下降一回で、沢に降り立つ。
             ・・・続く